触媒

先週末、後生大事に貯め込んだ疲れと気持ちを癒そうとはるばるスパに行ったのに帰りの電車で咳と鼻水が止まらなくなって今に至る。

体中の全ての蛇口が馬鹿になってしまったみたい。そもそも自分が馬鹿みたい。

しかし、季節の変わり目に体調を崩すなんて、風流でいいじゃないか。目じゃなくて服じゃなくて、体の内側から四季を感じているのだ。季節に引き摺られた重い肉体と希薄な精神からは、見るもの全てが風物詩だ。チェーホフも「世界観とは風邪の症状にすぎない」と言っていたことだし、季節感だって風邪をひいてこそって感じだ。むしろ体調も崩さずに見る落葉は美しいですか。翳まない目で睨む、思ったよりずっと早く暗くなる東の空とその時に初めて気づく見慣れない街燈の造型や明るさは本当に煌めいて見えますか。と、そう万人に問いたい気分だ。秋服も足りないくらいで丁度いい。人間もどうでもいいくらいが丁度いい。どうせまたすぐに寒くなる。いつの間にやら、知らん間に。

明日もまた頑張ろう。

 

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ペンデレツキ