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秋のみぎり。空は深く濁っていてその昔、混ざりきれなかった絵具とか溶かしきれずに崩れて沈んだ砂糖のような言葉とかきっと様々な情景が思い出されます。

渡世の寒さに塞ぎ込み、殻に閉じこもりきりだったこの数週。ここにきて痛切に切実に運動の必要性を感じ、夕食がてら1時間ほど歩くつもりで数駅先の食堂を目指し出掛ける。20分ほど歩いたところで立ち寄ったコンビニで煙草とアイコスを買った折、引かされたくじでよりもよってカップアイスが当たり、有無を言わさず袋に詰められる。これからまだ数十分は歩くつもりでいたし、その後暖かい食堂に入りささやかな夕食をとるつもりでいたのに。いくら寒くなってきたと言ってもその時間と温度はアイスを溶かして鞄を汚すだろうし、だからと言ってこの季節この時間に道端に座り込んでアイスを食べるのも、食べ物をゴミ箱に捨てるのもどちらも憚られ、結局踵を返して家に帰る。冷凍のうどんを湯がいて食べる。たかだか定価100円程度の、無料で貰ったアイス一つに翻弄されて暗く寂しい気持ちになるが、後味は悪くなかったりする。貰い物が手に余るこの感じ。

長いトンネルを抜けたのか慣れただけなのかその秘密はもはや自分では分からないけれど気温だけはちゃんと変わっていく。

 

 

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