2018

職場にと買って帰ってきたお土産を、鞄の中で一週間眠らせたまま、持って帰って家で一人で食べている。

一月ももう中盤。新年の気分なんてとっくに失われてしまったけれど、まだまだ寒さはこれからで、空気がどんどん透明になっていって、じりじりと真空に近づいている様相。離れていく年末に、まだ手が届きそうなこの感じ。

けれども最寄りの街道の電飾は、いつの間にかもう無い。

土曜なので空いている電車。

慣れないくせに新鮮味の無い街。等間隔で落ちている唾。独り言の大きな老婆。たまに強くきつく吹く風。珈琲で火傷した舌。溢れている自販機のゴミ箱。太り過ぎた猫。それなりに優しくそれなりに気難しい、すぐ我慢が顔に出る知り合い。とっぷりと暮れる季節。前を歩く男のバックパック。そのナイキのロゴ。慣れた足取りで真っ暗な塾に入っていく女学生。一枚も葉が無いプラタナス。ビラ配り。駅の本屋。相対的に軽くなる体。他人の咳をかき混ぜる電車。隣の座席で何度も大袈裟に髪をかき上げる中年女性。鞄の中で水みたく冷たくなっていたハードカバー。混雑するエスカレーター。あけましておめでとう。

 

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