7月

道端に短冊が落ちていた。

毎年、この時期になると近所の小学校の生徒たちが書いた大量の短冊が笹に吊られて街路を賑わすのだが、当然何週間も野ざらしのため雨や強風で落とされてしまう短冊もあるのだ。

覚束ない筆跡で書かれた「みんなで楽しくくらせますように」の一文が踏みつぶされアスファルトにへばりついている姿に胸を痛めるが、往来の中でそれを拾いあげて笹に結びにいく勇気がなくて気付かないふりして素通りした。しかし、七夕の日に笹を見にきて自分が飾った短冊が見つからない子どもはそれ以上に胸を痛めるだろう。

だからせめて短冊の代わりに覚えておく。落とされなかったどの短冊より長持ちするほど覚えておくから、残しておくから、きっとその願いは叶うだろう。お墓参りもネットでできる時代だから、短冊も人間で代用でできるでしょう。落ちたくないし踏まれたくないけど、落ちても踏まれてもきっと何かを残せるでしょう。

 

 

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