10月

 

11月ってとっても寒いぜ

何をやっても上手くいかなかった夏が終わってだしぬけに秋が訪れた。

どうしようもなく惨めだったこととか、引っ越しで面白かったこととか、色々整理して書こうと思っていたのにどれも下書きに保存すら出来なくて、なぜだか結局どうでもいいことしかいつも書けないでいる。道端で異彩を放つ花を見つけたこと。大きめの植物って夜に見ると少し怖いけれど、存在することに対して賛意を表明している感じがしてなかなかどうして頼もしくもある。そしてどうやら臭くもある。見た目が美しい花々でもいざ近づいてみれば大体押しなべてそれなりに臭いもので、そのギャップというか垣間見える生活感がまた人の心を惹きつけるのだろう。寒い日の花の匂いの奥には、人類にとって根源的に丁度いい湿度。それがある予感がしている。主語を大きくすることで何かを言った気になっている。何を感じて何を語ろうと畢竟全ては個人の感想でしかないが、世界に触れられるのもまた個人だけだから生きるのって難しいね。日が落ちるのが早くなって、外を出歩けば肌寒い。建物や乗り物の空調は暖房に切り替わり始めていて今くらいの時期が一番着るものの判断に困る。なんだって少し場所が変わっただけで、温度も空気も感じ方もこんなに大きく違うんだろうか。人間の順応性なんてたかが知れているので、きっといつでも誰かが我慢している。一日のうちの何時間、一年のうちの何ヵ月、温度に合わずに打ちのめされたり悲しくなるけれど、それ自体に本当は良いも悪いも何ない。場所に合わせて上手く脱げないから鈍感さだけを研ぎ澄ませていく。喫茶店で誰にもバレずに淹れたてのコーヒーカップを指先ひとつで一周させればもうすぐに冬が始まる。

 

 


Tender Love - Meshell Ndegeocello - 4/28/2018