4月

靖国通りの桜も見頃を過ぎて葉の緑が目立つようになってきた。本来癒しや生命力を象徴するはずの緑色が桜に混じると途端にグロテスクなもののように感じるのはなぜだろう。別に春なんて好きでもないのに。

ずっと吸ってきた煙草が生産中止になってこれを機にもう煙草なんか止めようと思っていたのに、性懲りもなく今でも別のを吸っている。

どれだけ執着を持っていても失くしてしまったら結局別のを探すだけだけど、それだとまるで何かを所持していたみたいな物言いだ。大体何でもいつだって少し近づいて遠ざかっていくだけということ、覚えていないと痛い目を見る。

あなたは丁度いい太陽が当たる鬱蒼と生い茂った完璧な庭で、そこに立つことで自分の形の影を落としてしまうのが無性に怖かった。

無糖の珈琲を買ったはずが家に帰ると微糖になっていた。

乾電池を買ったのでリモコンに入れてみたらとても便利。叡智。

荻窪北口の喫煙所、道路を挟んで向かいのドンキ。よく見るとドンキのくせにやけに小さくて、あんなに小さいドンキは初めて見た気がする。世界一小さいドンキなんじゃないかとさえ思う。おかげで少しだけ愉快な気持ちになったのも束の間、周りを見渡すと誰もが皆死んだような顔で煙草を吸っていて、あんなに小さいドンキを前によく死んだような顔で煙草なんか吸ってられるなと、とても悲しくて腹立たしい気持ちになる。

 

 

 


20180119 おやすみホログラム「ニューロマンサー」